ガチャ!
『失礼しまーす、先生ご無沙汰しちゃってます、お忙しいのに打ち合わせのお時間もらっちゃってすみません。 太りましたねー(^^;)』
そんな感じで入ってきたのは卒業生のモチコ、今日はモチコと私の小さな軌跡のお話。
私のことが嫌いだったモチコ
『初めましてA先生後任の鈴木です..ヨロシクお願い致します。』
今から約5年前のこと、A先生の後任として母校に戻ってきた私、A先生はすごく学生達に人気のある先生だった故に当時後任で入ってきた若僧(私)はあまり好かれていませんでした(^^;)
彼女もその1人、当初は『なんだアイツ。。』と思っていたそうです。
そんな彼女の担任がまさか自分になるなんて思いもしませんでしたが(^^;)
彼女はモチコ
今からさかのぼること約6年、15人のイラスト志望のクラスの担任になった私、 以前の記事『CLASS3』で書いていたみたいに14人女子+男子1名っていうほぼ女子クラスでした、女子クラスなのに動物たちがたくさんいる感じでした。
個性の強い2年3組の中で、特に強い影響力を解き放っていたモチコ、良くも悪くも自分の思ったことをズケズケと言う感受性豊かな子でした。
そしてある夏の日、職員室にアイスモナカを食べながら相談してきたモチコ
『イラストレーターになりたいのにMacでモノを作るなんて大っ嫌い!!』
『なんでせんせいはいつも私のデザインの否定ばっかりするの?』
『イラレなんか死んじゃえば良いんだーー(;_;)』
『わたしがグラフィックデザインやるとか絶対ありえないし…』
↑記憶に残ってるモチコのセリフ…今自分で思い返して書いててもおぞましいww
彼女とは幾度となく理不尽な理由でケンカをしては同じクラスの子に
『先生またモチコ怒らせたの?』っと言われる始末。
一緒に高校へ夢を運んだ日々
そういえば、よく2人でいろんな高校へガイダンスへ行きました。
あのころは車が出せなかったので電車に揺られ何時間もかけて高校へ行き、高校生達にデカルコマニーというカラーインクを使った実習をやっていました。
その頃も自分のイラストを描きながら高校生とよくコミュニケーションとっていたのを思い出す。
過去の記事:“小さい先生と夢を運ぶイラストレーター”
心配が残りつつ卒業していった
卒業後少しだけ研究助手として残っていた彼女だったがバイト先でデザイン業をやらせてもらえる事になったらしく、学校を卒業していきました。
正直この時点では 『やれやれ…いつまで続くかな…』 と思っていました。
ただまぁ彼女がいなくなった後はどことなく寂しさが残りました、あんなに自分の好きな事に夢中で良くも悪くも言いたい事を言う学生って正直珍しかったのでね。
プロになる為の地獄の日々
彼女が働き出して何度も体調を崩したり精神的に辛い日々が続たりして、その度にいつも連絡をしてくれた彼女。
『薬を飲まなくちゃいけないレベルなら少し休むことも考えなさい』
そんな私のアドバイスも聞いているんだか聞いていないんだか、とにかく地獄の様な過酷なデザイン業務をど根性で乗り切った彼女でした。
デザインがまだ未熟な彼女はたまに会社でやっている制作物を持って来ては私に見せアドバイスをしていました、チラシのレイアウト・ロゴの作り方・HPの作り方やら、卒業しても授業やっている感じでした…
過去の記事:展示準備と夢を運ぶイラストレーター その後
もともとグラフィックデザインが大っ嫌い、パソコンでデザインなんて意味がわからない、イラレが死んじゃえばいいと言い切っていたモチコでしたが、次第に見せてくれるモノがプロの制作物になっていった事に驚いたのを覚えています。
私が不在の時は自分がデザインしたロゴとパッケージのお店のお菓子を書き置きを残して置いて行ったりする日もありました。
モチコが覚えていた私の教え
モチコ。デザインは好きな人へのプレゼントと一緒なんだ
”モチコがデザインしたいっていう気持ちは誰かにプレゼントをあげるとの同じ事だ。
モチコが好きな人がいてその子に何かプレゼントしてあげたいって思ったときまず何から始める?
その子の好きな唄とか色とかモノとか色んなモノリサーチしてプレゼントを用意するだろ?
その後どうする?
どうやって包装したら喜ぶか考えるだろ?
その子の好きな色のリボンをつけてあげるだろ? デザインってそういう事なんだよ、
そこに対価のお金が入ってくるから腐ったデザインが世の中にゴロゴロしてんだよ、
お金は必要だけどな、でも気持ちより上には行かないんだよ
問題解決しながらも誰かに幸せになって欲しかったり、笑って欲しかったり想う事で本来あげたいものに何かを添えてあげたいと思う心が本当のデザイナーなのさ”
↑私の参考にならなそうな数多くの教えの中から彼女はこの言葉を覚え実行し続けてくれていました。
この教えは私のかつての師から教わった事を今の子達にも教えている大切な事。
過去の記事:デザイナーって多分そういうこと
元担任と学生がコラボレーションした仕事
≫ http://kokorozashicompany.com/
彼女が卒業して3年後まさか教え子と仕事をする日がくるとは、
HPデザインは教え子、それを組み立てる元担任で完成した彼女の勤め先のHP
過去の記事:(祝)卒業生とのコラボワーク
プロになったデザイナー
もう今となっては先生と教え子ではなくプロのデザイナーとしての付き合いになった先生とモチコ。 彼女にとってはいい兄貴みたいなもんなのでしょうか。
モチコと出会って6年が経った今、ふと後ろを振り返ってみるとホント色々あったなと…それにしても面白い繋がりを築いているもんだ。
彼女の成長を改めて見て先生というあり方を見直すいい機会でした
先生という生き物は先に生きて、教えつつ教えられて いつか教え子に”ありがとう”と言える為に日々勉強している、素朴であり夢のある職業だったということ、そして自分がやってきたこともあながち間違いじゃなかったんだな…と
ここ最近ずっと仕事の出来事をブログに書かなかった理由に
“先生という職業に自信が持てなくなった自分がいました”
でも少し取り戻せた気がします、またこうやって教え子に救われてしまうんだよなー。
過去に救われた記事:教え子に救われる、そんなことだらけ。
コメント
お久しぶりです。元3GD 吉川岳です。
いつもブログを楽しく拝見させてもらってます。
孝也先生でも自信を無くすことがあるんですね。もっと『なんでもこーい』見たいな悩み1つ無い
感じなのかと思ってました。
僕も働き始めて早くも3ヶ月、まだまだ勉強勉強の毎日ですが楽しく元気に過ごしています。
今度暇ができたら、また町田に遊びに行きます。
それでは吉川岳でした。
久しぶりだね岳。元気にしていますか? まさか岳が購読者だとは思いもしなかったわ :face4
岳は私をそういうキャラだと思っていたのも意外ですwww 私も日々自信を保ちながら生きています、弱さもあり強さもあり、それを繰り返しながらずっと生きているような感じですよ :ico15
ちゃんと菅沼先輩の言うことをよく聞いて、コミュニケーション取りながら頑張るんだよ!!
返信ありがとうございます。
菅沼先輩、高橋先輩、など町田の先輩方の言うことをしっかり聞いて「日々勉強」という
気持ちで頑張ります。
吉川岳