2021年3月に晴れて卒業制作を収めて社会人へと旅立っていった教え子たち。
無事に卒業式も終わり空っぽになってしまった教室を一人で掃除している時だった。
教室の隅でビニール袋にくるまれた、死にかけの観葉植物を発見……これが人間だったら大事件である。 この枯れそうでまだ枯れきっていない状態の植物はいったいなんなのか….調べたところパキラのようだ、ひとまずビニールから出して水をあげ写真にとって卒業生へ送ってみた。
どうやら自宅に持って帰ろうとビニールに入れてそのまま忘れて卒業式を迎えてしまったらしい、ということで自動的に自分が育てていくことになり、定期的に卒業生へ近況を連絡するという連絡逆パターンという形ができあがったのだ。
パキラは勝手にタクちゃんという名前(卒業生の一人)をつけてやった。
4月28日。
発見から1ヶ月ほど↑瀕死状態のタクちゃんは我に返ったかのようにシュンと上を向き始めた。 右は正式に卒業生から引き継いだポトスのサッちゃん。
5月20日。
観葉植物を枯らしてしまう天才的才能を持った僕だったので、きっとこの後サッちゃんタクちゃんは成長することもなく枯らしてしまい、ひっそりを卒業生への定期連絡をサボり、いつか再会したときに『そういやそんなこともあったね』としらばっくれる予定だったのだが……恐ろしい勢いで育っていくのだ。
6月24日。
もうここまで来たら相当なことがない限り枯れることはないだろうという確信に変わり。
自宅から持ってきた、自慢のお手製トルーパープラントへ植え替えることにした。
9月20日。
サッちゃん(ポトス)も順調に成長し、タクちゃん(パキラ)も生き生きとした葉をたくさん付け始めた。お恥ずかしい話だが、おそらくこんなに健康な観葉植物に育て上げたのは人生初だと思う……、卒業生のパワーなのか、卒業生を想う僕の気持ちが強いのかはわからない。
10月2日。
職員室での存在感は申し分ないほどに成長した。
サッちゃんの伸び続ける方向を調整し、トルーパーの目の部分から顔を出せるようにした。もうこれなら、しらばっくれることもなく、毎回卒業生に堂々と写真を撮って送ることができる(笑)
サッちゃんもタクちゃんも今無事にクリエイターとして毎日頑張っているらしいし、それを応援する気持ちを込めながらこの置き土産の面倒を見ている元担任というエピソードも悪くなさそうだ。
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