この職について11回目の春が来た。
傷口に塩を塗ったような1年
11回目の春が来たということは、今まで11世代の子たちを世の中に送り出してきたことになるわけだが、色んな意味で今年は一番辛い1年間だった。
というのも、この子達の就職活動が始まるというタイミングでコロナウィルス感染拡大になり、急遽オンライン授業ができるシステムを整えて、少しでも就職活動のアドバイスになるよう動画収録をして配信したり、資料を作ったり….できる限りの努力をしてきたつもりだったが、学生や保護者の学校に対する不信感が増え続け、クラスからも保護者からもサンドバッグ状態になり、もうこれ以上は立ち直れない…..というどん底まで落ちてしまったのだ。
今振り返ってみれば、学生も行き場のない怒りや不安を抱えながらナーバスになっていき、本来ならすぐに決着がつきそうなインターンシップも数ヶ月という長い間での就職活動を強いられることになった子もいて、とにかく心身ともに辛かったんだろうな…
まぁそういう意味でのサンドバッグという風に思えば少しは心が楽になる(笑)
傷口に塩を塗ったような辛さが続いたときも現場の人たちに相当支えてもらった、年を取れば取るほど弱くなっている気がする自分を気にしつつ、職場の人たちの存在にどれだけ救われているかを改めて感じる年でもあった。
不思議な儀式
それにしも卒業式という単なる儀式は、今までの辛さがすべて浄化されていくという錯覚にとらわれるのが不思議なところである。
どんなに争っても、どんなに文句を言われ続けても、どんなに風当たりが強くても、この日を迎えると決まって
「あぁ、これで良かったんだな、この仕事で良かったんだな」
そう思いながら、肩に背負っていた巨大な荷物が降ろされるのだ。
心のこもった手紙や記念にいただいた数々の贈り物を眺め、家族に見つからないようひっそりと涙と鼻水を垂れ流しながら酒を飲んでいる自分。
こうやって人間臭くこの職を続けていくことしかできない自分に、諦めと納得をしながら今年も卒業式が終わった。
んにしても、なんでこんな弱い人間が教職を続けてるんだろうか(笑)
春近づく
娘が学校の帰り道に桜の枝を拾って返ってきた、きっと嵐の突風で折れたのだろう。
我が家ももう少しで開花宣言ができそうだ。
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